小さな塊

固く乾いた地面はまったいらで

丘の上から遠く眺めているときれいな鏡のよう

(もっときれいな君はお化粧をなおしはじめる)

 

小さなごみのような黒いものがひとつ見えたので

私は歩きはじめた

(みがきなおさなきゃ)

 

そこには小さな塊ひとつうずくまって死にかけて

その傍らに大きな鳥が待っていた

(ふりむくと君は私に手を振っていた)

 

鳥の羽音が耳元ではじけ高く舞い上がり消えていった

あの小さな黒い塊はもうなくなっていた

(誰かが片付けたんだろうか)

 

うずくまっていた地に残る血の染み

なんどもなんどもみがいてみがいて

(いくらぬぐっても落ちない染みだ)

 

丘の斜面に君の影が伸び

向こう側へ吸い込まれていった

(君は日傘を取りにホテルへ戻る)

 

突風が白い獣を連れてきて

私のまわりをぐるりと囲んだ

(突風は例の染みも消し去った)

 

私は獣に囲まれて

できることをした

(私は小さくうずくまる)

 

 

 

 

 

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