しばらく暮らした家を出ることにした
するとそこは家ですらなかった
暖かかったはずの日々の記憶も
凍っていた
大きな灰色の水をひきずって
私は家を出た
冷たい表情の男が
そのくせ優しそうな目で私を見つめるので
私を家においてくれないか
つい頼んでみたのだが
おまえの家はそこにある
そう言って私の足跡を指差した
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