百科事典

千億の人間の死に様を書き連ねた

この星の大地は死の百科事典

未完の頁は風に送られ

書記の手は休まることがない

 

月と太陽はかわるがわる見張りに立つ

死の事典の完成はまだかと

彗星も時折やってきて

途中を読んでは飛び去ってゆく

 

すでに大地は文字で埋め尽くされたが

忠実なる書記はかまわずに

かまわず書き続けるだけだ

 

やがてひとつの静かな死をみた

書記の手はその死を飛ばして

次の銃声に耳を澄ませた

 

 

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    oretasakana (金曜日, 30 12月 2011 17:15)

    (日曜日, 18 12月 2011 23:47)
    こどものころ、池袋駅を毎日歩いていた。
    見渡すかぎりの大人たち。
    見知らぬ一人ひとりがそれぞれに数十年を引きずっていて、その総量にめまいをおぼえた。
    空に輝く星の数と、地上に生まれて死んでいった人間の数はだいたい等しい、とどこかで習った。
    人は生まれ、死に続けている。

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