小さい頃私は空にいた
月に懐中電灯を向けて数を数えている姿
鍵を失くして家に入れず立っている姿
小さな私の姿を私は空から見ていた
あるとき私は地に降りた
その日こそ私の誕生日だ
視点は地上百数十センチメートルに定まり
以来私は足許ばかりを見つめている
地下鉄の振動に抱かれて眠り
映画館の銀幕が開かれた窓で
一冊の本と等しく生きていた
今私はもう一度空へ帰りたい
こんどこそ自分を連れて
見えなかった遠くを見るために
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