百合の花が吠えている
確かさの限りを尽くして
蕾にうなる盲目の力で
やみくもに突き進む
花びんの水は減ってゆき
いちばん小さな蕾は咲きそうにない
葉の何枚かは切り捨てられた
そうして百合の花は吠える
重なりあいぶつかりあう絶叫が
食卓にはねかえり台所にこだまし
換気扇に吸いこまれる
百合の花が吠える
色あせた花びらを震わせ
腐り落ちるまで
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