苦痛の海はいつも凪いでいる
ずっと泳いでいるから
もうすっかり
息継ぎも忘れてしまった
陸を探してとはいまさらのこと
せめて岩礁に休もうと
緩めた腕に水が止まり
怖くなって泳ぎ続けた
腐りかけた酒樽や
喰いちぎられた鳥の死体が
親しげに寄ってくる
あなたの笑顔が流れてくる前に
わたしは慌ててもう一度
腕に力を込めるのだ
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