深海魚

祝いをかかえたひとの群れに

夜は白い顔で流れこむ

新しいビルの壁やウィンドウに紛れ

ひたりひたりとからみつく

 

祝いに夢中のひとの群れは

笑い声の小舟に乗って夜の流れに流されて

ほどかれたリボンとしわくちゃのティシューを残して

灯りをかかげてどこかへ消えた

 

私は夜の底にいた

澱んだ水は体温に対流し

大通りから横道に逸れて出口を探した

 

地下鉄が向こうからやってきた

トンネルを泳ぐ深海魚の如き

同類が向こうからやってきた

 

 

 

 

 

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