めまいと耳鳴りと靴擦れに耐えて
ものぐさな五体倒置のように手探りで這いずって
いきあたった分岐点には道しるべはなくて
かわりに見慣れた自働機械が捨てられていた
私はそれに乗って海を渡ろうとしたのだ
私はそれを武器に戦争を仕掛けたのだ
そして私はそれを失ったのだ
その自働機械はすっかり錆びていた
汚れたギアをなめて
前面装甲板を掌でみがいて
それでも鉄くずにしかみえない自働機械
燃料タンクに手首をかざせば
歪んでしまった注入口が動脈に噛みつく
動かぬ自働機械は燃えぬ燃料を飲み干した
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