ひざこぞう

冷えて乾いてかさかさの

小さなふたつのひざこぞうがぴょこんぴょこん

ほっぺたふくらまして力をこめて

駅の階段をのぼっていった

 

僕が生きていると気づいたのは

たしかそのときだったと思う

毎朝のぼったその階段で

僕は生まれた

 

大きくなって半ズボンなんか履かなくなって

ひざもこぞうでなくなって

生きているとも思い出せなくなっていた

 

風呂に浮かぶひざふたつ

ちっとも動かず死んだよう

両のてのひらを覆いかぶせた

 

 

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    oretasakana (金曜日, 16 12月 2011 02:09)

    そのとき、とは、小学校五年生の朝の登校時。いまでも膝に感触が残っている。

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