十八ヶ月齢の猫

三〇〇グラムは四七〇〇グラムになった

灰色に暗かった瞳はまんまるに輝き

絶えそうだった息は深く強く繰り返され

深い噛まれ傷からは何度も膿を押し出した

あの日の下生えの草間から聞こえた細い鳴き声は

今日の窓辺から隣部屋の私を呼んでいる

 

喉をさする指には熱が伝わり

やわらかなやすりのような舌は

手の甲がひりひりするまでなめてくれる

針のようにちくちくしていた小さな歯は

鋭いままに大きく揃った

その歯で私の手を噛む子猫よ

 

失われたかもしれぬ三〇〇グラムよ

膝をしびれさせる四七〇〇グラムよ

もう少しのあいだなでさせておくれよ

 

 

 

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    oretasakana (金曜日, 16 12月 2011 00:24)

    シェリルK。ほんとうに美人なのだ。信じてほしい。今では太っちょだけど。目も開かないのに重傷を負って瀕死の状態の彼女を救助した日、医者にも「覚悟しろ」と言われ、それでも彼女は生きる気満々で食べられもしないはずの缶詰(離乳食に思い至らなかった)を懸命に食べていた。今では元気に一日中、寝ている。

  • #2

    まる (月曜日, 19 12月 2011 09:40)

    ああ、なるほど。
    うちでも生後3日の猫を保護しました。その年齢だと育たないことがあるらしい。なんとか持たせて、震災時もだいじょうぶでしたが、そのあと亡くなりました。

    この詩のお気持ちはよくわかりますね。。。

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