無影の午後二時

無影の午後二時に生まれた熱源

垂線のゆらめきにあわせてじらすように踊る風

道を渡れぬ仔猫のようにめぐる春の花の香

揮発する血液にふくらんだ前頭葉

 

なにを殺したかわからないという

不完全な自白調書は無効とされた

いったいどこにいるのかと気づけば

いけにえの羊を抱きしめていた

 

体は重く椅子は硬く

逆光線はのしかかる

だがまだ足りない

 

宙を横切るわたぼこりをにらみつけても

指先を小さく動かしてみても

ガスライターの火をともしても

 

 

 

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    oretasakana (火曜日, 20 12月 2011 00:19)

    沈み込んだところでなにを掴むか。視界ゼロの澱んだ水底で、両の手はなにを掴むか。それを書くことは、そこを生き延びることだった。

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