ソファに寝そべる私の腹に寝そべる私の猫よ
私はおまえの言葉を待つ
おまえの言葉を待ち続ける私に向かって
おまえの口が開きにゃあと鳴く
今夜も私はおまえの言葉を聞けない
まっすぐに私の目を射抜く
おまえの目は透明だった
透明だったおまえの目は白くなり
私はその目を燃やした
昼を一人で待ち
夕に私を迎え
夜をともに眠れず
朝を共謀して寝過ごした
我が猫よ
おまえは何者だったのか
底のない深さの
果ての見えぬ広大さの
湧き出で続ける温かさの
愛をおまえは私に与えた
私はおまえの愛にすがり
ひとしずくでもいい
同じ色の愛をおまえに注ぎたかった
我が猫よ
私は独りではなかった
おまえに会ったことで
はるか以前の初めから
独りではなかったと理解した
おまえを失っても私はもう独りに戻らない
私の魂は
おまえの大きなそれのひとかけらだった
我が猫よ
その衰えた肉体よ
羽枕のように軽くなってしまった体を抱き
枯れ枝のように折れそうな骨をなぞり
私はおまえに気づかれぬように泣いたのだ
我が猫よ
おまえは泣かないのだな
悲しみもせず
恐れもせず
ある日ただ一人
ひと寝入りするつもりだったかのように死んだ
おまえの死んだ体を拭いながら
私は泣き続けたのに
我が猫よ
大きく速く強かった我が猫よ
おまえは私の誇りだった
おまえは私の王だった
そんなつもりで眺めていると
そんなことはどうでもいいと
言わんばかりに腹を見せた
白い毛を透かして朱色の腹を
我が猫よ
おまえは何者だったのか
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