小さな駅の駅舎には
二階があってベランダがある
終電の音も遠く去った夜更けに
今誰が寝ているのだろう
眠らぬ者は冷たいレールをまたぎ
鳴らぬ踏切を渡り
街灯のテンポで移ろう自分の影を追い
深夜営業のカフェを探す
熱い泥水の如きコーヒーを飲みながら
夜更けの静けさを味わっている
今だけここだけ
誰も知らぬ一瞬ほど
甘くかぐわしき水はなく
私のかわきをいやすものはない
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