エチュード

旋律を乗せてアルペジオが踊りだす

巨人の足音のような低音オクターヴのリズムが響く

つむじ風より早いトリルにくすぐられる共鳴

歯切れよいペダルは音楽の隊列を行進させる

 

ひとつの音符も欠けることなく

手と手をたずさえ流れてゆくエチュード

秒を捨て拍で呼吸し鼓膜を飛び越え骨を響かせ

音楽は流れてゆくのだ

 

始まりから終わりに向かって

誰にもつかまらない鳥のように

天も地もない世界を飛ぶように

 

忘れ得ぬ色を流して去りゆくエチュードよ

いかなる痕跡も残さぬ音楽よ

汝を愛する者に幸せのみを残せよ

 

 

 

 

 

 

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